03.04.06:32
[PR]
02.16.23:36
ちょっとだけな……の件。
少しだけ羽目を外してみた。
羽目というか……うっかり……?
たまには良いか、と思って見る。
たまには……。
リハビリ……にもなんねーな。
バレンタインという出来事についての憂鬱。
この間には誰も入れるな。
そう言ったのは、悠さんだった……ハズだ。
「あの……これ、貰って貰えますか?」
可愛らしいラッピング。
言わずと知れたバレンタインのチョコだろう。
ちょっと自分が床に落ちていたゴミを拾い上げたその隙に、すいっと悠さんの背後から入り込んできた女性。
勿論気配は感じていたが、不穏な空気が無かったので放置していたら……これだ。
ガッツリ二人の間に入り込んでいる。
(悠さん……勿論それは……断っ、)
「え、あぁ……ありがとう」
はにかむような―――どうした物かと困っているときの顔なのだが―――笑顔で言うものだから、女性は顔を真っ赤にして「ありがとうございます!」と行って走り去っていった。
「はる……、隊長……」
(断って欲しかったのにー……)
口に出せないもどかしさ。
だって口に出せばきっと、責めるみたいになって喧嘩腰になってしまう。
でも受け取るのは勿論、悠さんの自由で……勿論、告白だとしてもそれは……自分が断る事は出来ないわけで……。
「……悪い」
自嘲気味な笑みを浮かべて、そっとラッピングされた箱の表面を撫でる。
あぁ……独占欲で狂いそうだ。
「ここにこめられた気持ちが、可哀想でな……同情するのはもっと悪いのかも知れないが、無下には出来なかった」
自分との間に割って入るのはどれだけ勇気が要るものか。
そして、手作りのようなそれを渡すその瞬間は、どれ程の緊張感があったのだろうか。
よく……知ってる。
未だに悠さんとちょっとでも離れていて、再会するときは緊張する。
ピリッと背筋に電気が走る感じで、むず痒く、竦むような感じになる。
「答えを求めない贈り物ならば、受け取っておいた方が……俺なら楽だと思った。無駄な傷は、付けない方が良い。偽善的だけど……」
傷つくのは怖い。
傷つけるのも怖い。
そこまで言われると、もう、責められるハズが無い。
責める気も無いけれど……。
複雑な顔をしていたんだろう。
悠さんは自分の頬に手を伸ばして、すりっと撫でてくれた。
「チョコぐらい許せ……基寿」
小さな声で言ってくれた名前で、馬鹿らしいほどに浮かれてしまう。
そんな事では誤魔化されませんよ。
でも……今回はそれで十分です。
「はい、悠さん」
諸手を挙げて降参です。
「隊長ー! 荷物届いてますよ!」
「ん? 誰から?」
慌てて離される手が寂しい。
「女性の名前ですねぇ」
「え?」
「えーと……」
読み上げる前に悠さんが小包を受け取って……優しく微笑んだ。
「!? は、隊長……?」
誰だそんな顔をさせる女の人って!
「貰って一番嬉しいチョコかもしれない」
ふふっと笑う顔は可愛いけれど、言ってることは不穏この上ない!
「よし、部屋に帰って開けよう」
スキップでもせんばかりに、その足取りは軽い。
「誰ですか、それは!」
「え?」
きょとんとして振り返るが、足は止まらず。
シュッと音を立てて扉が開く。
「悠さん!」
一歩中に入って、ようやく思うままに名前を呼んだ。
「大切で大好きなお義母さんと、義妹からだよ?」
ほら、と見せられた宛名には自分のの母親と妹の名前。
「……なん、だ……母さんと海里か……」
自分の慌てようがおかしかったのだろう。
悠さんはクスクス笑って小包を開ける。
「何、オマエは俺が浮気でもしてると思ったワケか?」
「まさか! でも……あんな顔されちゃあ……」
「あ、手作りだ。嬉しいなぁ」
開けて、ぱくんと一口頬ばる。
「悠さーん」
我ながら情けない声だ。
それを聞いて悠さんは少し溜息をついて、ぎゅっと自分を抱きしめてくれた。
「悪かった。オマエの反応に悪戯心が出てしまったんだ。そういう顔をすると思って」
わざと!
わざとあんな顔をして、こんな焦らし方したっていうのか、この意地悪すぎる確信犯は!
あぁ、でも怒れるハズが無い。
だってその目論見の根底には、自分がどれだけ悠さんが好きか知っていて、かつ、嫉妬しながらもそれで自分を頭ごなしに責めないだろうという、確固たる信頼―――ここ重要―――が有り、それをこうして宥められると確信していたから。
その信頼と確信は、悠さんが自分を思っているという、愛情の上に成り立っているもので……。
「あ、こっちもおいしい」
言って食べているのは、先ほどの女性がくれた方のチョコ。
浸っている間に、悠さんは手を離して包みを開けていたらしい。
「は……はーるーかーさーーーん!」
それは別!
それをおいしそうな食べるのは、別!
「おいしいから、西脇にもあげよう。ビターだから、許容範囲のはず」
あぁ、そこで西脇さんの名前が出るのももの凄くもやっとするし!
「お願いですから、今日はじっとしていて下さーい!」
クスクス笑う悠さんはいいけれど、やっぱりこういう行事は、自分の楽しみ以外での憂鬱が多すぎる。
両思いになってからの方が、憂鬱は深い気がする。
こんな事ならバレンタインなんて無くても……。
「あ、今日の仕事が終わったら、一緒に食べような。実はこっそり作ってあるんだ、岸谷に言って厨房借りて作ったんだ。ガトーショコラ」
あぁ、やっぱりバレンタイン最高!
END.
つまりは何、って犬はバカだ、って話ですな。
そんな文章に1時間近くもかかるなんて……めそめそ……。
羽目というか……うっかり……?
たまには良いか、と思って見る。
たまには……。
リハビリ……にもなんねーな。
バレンタインという出来事についての憂鬱。
この間には誰も入れるな。
そう言ったのは、悠さんだった……ハズだ。
「あの……これ、貰って貰えますか?」
可愛らしいラッピング。
言わずと知れたバレンタインのチョコだろう。
ちょっと自分が床に落ちていたゴミを拾い上げたその隙に、すいっと悠さんの背後から入り込んできた女性。
勿論気配は感じていたが、不穏な空気が無かったので放置していたら……これだ。
ガッツリ二人の間に入り込んでいる。
(悠さん……勿論それは……断っ、)
「え、あぁ……ありがとう」
はにかむような―――どうした物かと困っているときの顔なのだが―――笑顔で言うものだから、女性は顔を真っ赤にして「ありがとうございます!」と行って走り去っていった。
「はる……、隊長……」
(断って欲しかったのにー……)
口に出せないもどかしさ。
だって口に出せばきっと、責めるみたいになって喧嘩腰になってしまう。
でも受け取るのは勿論、悠さんの自由で……勿論、告白だとしてもそれは……自分が断る事は出来ないわけで……。
「……悪い」
自嘲気味な笑みを浮かべて、そっとラッピングされた箱の表面を撫でる。
あぁ……独占欲で狂いそうだ。
「ここにこめられた気持ちが、可哀想でな……同情するのはもっと悪いのかも知れないが、無下には出来なかった」
自分との間に割って入るのはどれだけ勇気が要るものか。
そして、手作りのようなそれを渡すその瞬間は、どれ程の緊張感があったのだろうか。
よく……知ってる。
未だに悠さんとちょっとでも離れていて、再会するときは緊張する。
ピリッと背筋に電気が走る感じで、むず痒く、竦むような感じになる。
「答えを求めない贈り物ならば、受け取っておいた方が……俺なら楽だと思った。無駄な傷は、付けない方が良い。偽善的だけど……」
傷つくのは怖い。
傷つけるのも怖い。
そこまで言われると、もう、責められるハズが無い。
責める気も無いけれど……。
複雑な顔をしていたんだろう。
悠さんは自分の頬に手を伸ばして、すりっと撫でてくれた。
「チョコぐらい許せ……基寿」
小さな声で言ってくれた名前で、馬鹿らしいほどに浮かれてしまう。
そんな事では誤魔化されませんよ。
でも……今回はそれで十分です。
「はい、悠さん」
諸手を挙げて降参です。
「隊長ー! 荷物届いてますよ!」
「ん? 誰から?」
慌てて離される手が寂しい。
「女性の名前ですねぇ」
「え?」
「えーと……」
読み上げる前に悠さんが小包を受け取って……優しく微笑んだ。
「!? は、隊長……?」
誰だそんな顔をさせる女の人って!
「貰って一番嬉しいチョコかもしれない」
ふふっと笑う顔は可愛いけれど、言ってることは不穏この上ない!
「よし、部屋に帰って開けよう」
スキップでもせんばかりに、その足取りは軽い。
「誰ですか、それは!」
「え?」
きょとんとして振り返るが、足は止まらず。
シュッと音を立てて扉が開く。
「悠さん!」
一歩中に入って、ようやく思うままに名前を呼んだ。
「大切で大好きなお義母さんと、義妹からだよ?」
ほら、と見せられた宛名には自分のの母親と妹の名前。
「……なん、だ……母さんと海里か……」
自分の慌てようがおかしかったのだろう。
悠さんはクスクス笑って小包を開ける。
「何、オマエは俺が浮気でもしてると思ったワケか?」
「まさか! でも……あんな顔されちゃあ……」
「あ、手作りだ。嬉しいなぁ」
開けて、ぱくんと一口頬ばる。
「悠さーん」
我ながら情けない声だ。
それを聞いて悠さんは少し溜息をついて、ぎゅっと自分を抱きしめてくれた。
「悪かった。オマエの反応に悪戯心が出てしまったんだ。そういう顔をすると思って」
わざと!
わざとあんな顔をして、こんな焦らし方したっていうのか、この意地悪すぎる確信犯は!
あぁ、でも怒れるハズが無い。
だってその目論見の根底には、自分がどれだけ悠さんが好きか知っていて、かつ、嫉妬しながらもそれで自分を頭ごなしに責めないだろうという、確固たる信頼―――ここ重要―――が有り、それをこうして宥められると確信していたから。
その信頼と確信は、悠さんが自分を思っているという、愛情の上に成り立っているもので……。
「あ、こっちもおいしい」
言って食べているのは、先ほどの女性がくれた方のチョコ。
浸っている間に、悠さんは手を離して包みを開けていたらしい。
「は……はーるーかーさーーーん!」
それは別!
それをおいしそうな食べるのは、別!
「おいしいから、西脇にもあげよう。ビターだから、許容範囲のはず」
あぁ、そこで西脇さんの名前が出るのももの凄くもやっとするし!
「お願いですから、今日はじっとしていて下さーい!」
クスクス笑う悠さんはいいけれど、やっぱりこういう行事は、自分の楽しみ以外での憂鬱が多すぎる。
両思いになってからの方が、憂鬱は深い気がする。
こんな事ならバレンタインなんて無くても……。
「あ、今日の仕事が終わったら、一緒に食べような。実はこっそり作ってあるんだ、岸谷に言って厨房借りて作ったんだ。ガトーショコラ」
あぁ、やっぱりバレンタイン最高!
END.
つまりは何、って犬はバカだ、って話ですな。
そんな文章に1時間近くもかかるなんて……めそめそ……。
PR
- トラックバックURLはこちら